リスニング学習において、多くの学習者が直面する問題があります。
そのひとつが、「ディクテーションをやってもなかなか上達を感じられない」という悩みです。
リスニング力を鍛えるためにディクテーションをしても、成果が出ないと感じる学習者は多くいますが、ディクテーションはリスニング力を伸ばすためには必須の学習方法です。
今回の記事では、ディクテーションの目的を確認し、具体的な方法や大切な考え方を紹介します。
◉ディクテーションとは?
ディクテーションとは、音声を聞いてその内容を文字に起こす学習方法です。リスニング力を鍛えるための有効な学習法のひとつとして広く知られています。
◉目的
ここで、ディクテーションの目的について整理しましょう。
ディクテーションの目的は、「リスニングにおける自分の弱点を整理&把握すること」です。
リスニング力を向上させるためには、まず自分の弱点を正確に把握することが重要です。そのためにディクテーションはとても効果的です。
ただし、正しい方法でディクテーションを行い、その後に分析することが不可欠です。
ディクテーションの具体的な方法と弱点を分析するための考え方についてこれから説明していきます。
◉具体的なディクテーションの方法と注意点
step1. とりあえず全体を通して聞いてみる
まずは、「意味がわかるかどうか」に集中して全体を通して1〜2回聞いてみてください。このとき、細かい部分は気にせず、とりあえず全体を聞いてみることが重要です。
step2. 実際に書き起こしてみる
ディクテーションの最大のポイントは、「自分がどのような意味だと思ったのか」「どのように聞こえたのか」を書き残しておくことです。ひらがなやカタカナでも構わないので、とりあえず書き残しておきましょう!
わからない部分は、前後の文脈や文法知識から推測してできるだけ埋めるてください。
「もうこれ以上埋められない!」となるまで繰り返し聞きましょう。
step3. 0.5倍速もしくは0.75倍速でもやってみる
繰り返しになりますが、ディクテーションの目的は、「聞いた英文を書き起こすこと」ではなく「自分の弱点を分析すること」です。
しかし、最初の頃は、何をどのように分析したらいいのかわからなくなります。このとき、「スピードが速かったから聞き取れなかった」とスピードのせいにしたくなりますが、これだと解像度が粗く、最適な改善策に辿り着けません。
そこで、音声のスピードをゆっくりにして挑戦してみましょう。スピードをゆっくりにして聞こえた部分は、スピードが速かったから聞き取れなかったことになりますし、ゆっくりにしても聞き取れない部分は、他に原因があることになります。
リスニング学習では、英語が速く聞こえてしまうため、「英語が速いから聞き取れないんだ」と思いがちですが、ここで「本当に速かったから聞き取れなかったのか?」を確認しておきましょう。
step4. スクリプトと違う部分を分析する
このステップは、ディクテーションをする目的そのものになります。どのように考えて分析していくといいのか、次に説明していきます。
これらのステップを2週間〜1ヶ月繰り返すと、自分の弱点が徐々にわかってきます。自分の改善点を認識して、学習の方向性や方法を見直し、自分の英語をブラッシュアップしていきましょう。
◉弱点の分析
ここでは、どのように考えて自分の弱点を分析していくのかを紹介します。
「リスニング=意味取り+聞き取り」ですので、自分の弱点は「意味を理解する力が不足している」か「聞き取る力が不足している」に分類できます。
ディクテーションの目的は、この「意味を理解する力が不足している原因」や「聞き取る力が不足している原因」は何かを考えることにあります。
例えば、
意味を理解する力が不足している原因 = スクリプトを読んでも意味がわからない原因
- 文法知識や語彙力が不足している
- スクリプトを理解するための前提知識や周辺知識が不足している
- 英語で理解する力が不足している
聞き取る力が不足している原因 = スクリプトを読めばわかるのに聞き取れなかった原因
- 英語の発音規則に関する知識不足
- 英語の発音規則や様々なアクセントに対する慣れ不足
- 英語で理解するスピードが遅い
ここで挙げた原因に限らず、自分の原因は何か?を考え検証していくことが、ディクテーションによってリスニング力を向上させる第一歩です。
地道に続けていく根気が必要ですが、焦らずに少しずつ進めていきましょう!
◉教材の選び方
ディクテーションに使う教材を選ぶときには、次の2点を押さえましょう。
- 正確な正解(スクリプト、字幕 etc.)があること
- 最後までやり切れる文章量であること
特に、正確な正解(スクリプト、字幕 etc.)があることは必須です。逆に言えば、正確なスクリプトや字幕があれば基本的になんでも良いと思います。
個人的には、ディクテーション用の教材をわざわざ買う必要はないと思います。YouTubeなどにある動画を使えば、十分に効果的なディクテーションができます。
具体的には、次の3つがオススメです。
① Learn English with TV series
https://www.youtube.com/@LearnEnglishWithTVSeries
このYouTubeチャンネルは、慣れ親しんだ映画やドラマのワンシーンを使って勉強できるという点で楽しく、継続的に、また、ネイティブが使うような自然な英語に触れることができます。
② Rupa sensei
https://www.youtube.com/@Rupasensei
こちらも、映画やドラマのワンシーンを使って勉強することができます。他と違う点として、各シーンについて発音の説明があります。そもそも、英語と日本語の発音は全く別物ですので、リスニングを伸ばすためには英語の発音を学ぶ必要がありますが、このチャンネルでは発音の説明があるため、ナチュラルな英語の発音についての理解も深めることができます。
③ Ted
英語学習者の間ではお馴染みのTedです。Tedは動画の種類が豊富なため、より自分に合った教材を選んでディクテーションをすることができます。また、何かを理解する際、その前提知識や周辺知識が必要になりますが、Tedの動画を使えば、英語の勉強をしながら新たな知識を得ることができるため一石二鳥です。
◉まとめ
この記事では、ディクテーションの目的と自分の弱点を把握するための考え方について重点的に解説しました。
ディクテーションは、リスニング力を向上させるための有効な手段であり、適切な方法で行うことで確実にリスニング力が上がります。
この記事を参考に、日頃の英語学習に取り入れてみてください。